こんにちは、もくパパです。
小学校で教員をしながら、2人の子育てをしています。
適応障害を4度経験しながらも、なんとか働き方を見直しつつ教員生活を続けています。
「指導力不足」という言葉、教員であれば一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。自分自身が「もしかして指導力が足りていないのでは」と不安になったり、周りの先輩や管理職からそう言われて落ち込んだりすることもあると思います。
今回は、指導力不足という言葉の実態を整理しつつ、僕自身が実践して効果を感じた声かけのテクニックをご紹介します。特別な才能や経験がなくても、明日からすぐに試せる内容です。

正直、自分に指導力があるのかどうか、いつも不安なんです…

その気持ち、すごくわかります。僕も同じでした。
でも指導力は、才能というより
「積み重ねられるスキル」
だと今は感じています。今日はその一歩を一緒に見ていきましょう。
教員の「指導力不足」とは?まず現状を知っておきたいこと

「指導力不足教員」の定義は実はあいまい
「指導力不足」という言葉を聞くと、何か明確な基準があるように感じてしまいますが、実際にはその定義には幅があります。
授業がうまく組み立てられない、学級がまとまらない、保護者対応がうまくいかないなど、さまざまな要素がひとまとめに「指導力不足」と呼ばれてしまうことが多いのが実情です。
つまり、「指導力不足」と言われたとしても、それが具体的に何を指しているのかは、状況によって大きく異なります。
なぜ「指導力不足」と感じる・言われる教員が増えているのか
近年、学級経営の難しさを感じる教員が増えていると言われています。
子どもたちの多様化、保護者からの要望の変化、業務量の増加など、教員を取り巻く環境そのものが複雑になっていることが背景にあります。
個人の能力の問題というよりも、環境の変化に対応するための「新しい技術」が必要になっている、というのが実際のところだと感じています。
「指導力不足=解雇」と決めつける前に知っておきたいこと
「指導力不足」という言葉に「解雇」という言葉が結びついて検索されることも多いようですが、まずお伝えしたいのは、指導力に不安を感じることと、実際に重大な問題に発展することの間には、大きな距離があるということです。
指導力は、後から積み重ねて伸ばしていけるものです。一つひとつの声かけや関わり方を見直していくことで、状況が変わっていくケースはたくさんあります。

まずは
「自分はもうダメだ」
と決めつけず、できることから見直していきましょう!
指導力不足を感じたときにまず見直したい「声かけ」

知識や経験より「声かけ」ひとつで変わることもある
指導力というと、授業の技術や豊富な経験が必要だと思われがちですが、実は日々の「声かけ」の質を見直すだけで、学級の雰囲気が大きく変わることがあります。
僕自身、経験年数が浅い頃は、注意する回数の多さに悩んでいました。

9年続けても、新しく学ぶことばかりです。。。
最初の方は本当にひどかった。笑
しかし、声かけの「型」を少し変えるだけで、注意しなくても子どもたちが自分から動いてくれる場面が増えていったのです。
学級がざわつく原因は「指示の出し方」にあるかもしれない
学級がざわついてしまう原因を、子どもたちの側だけに求めてしまいがちですが、実は指示の出し方そのものに改善の余地があることも多いです。
「静かにしましょう」という抽象的な指示だけでは、子どもたちはどう行動すればいいのかが具体的にイメージしづらいことがあります。
ここで役立つのが、次にご紹介する声かけのテクニックです。
今日から使える声かけテクニック「問題行動の予言」
「宮澤悠維先生」のYouTube動画で紹介されていた声かけの内容
『宮澤悠維教育研究所』の動画を見て取り入れたところ、思っていた以上に効果があったので、内容をご紹介します。
全体で動く前、たとえば教室移動の前に、まずクラス全体を静かにさせます。
そのうえで、次のように声をかけます。

今から黙って列まで移動します。先生はみんなが静かに移動できると信じています。
そして、ここがポイントです。続けてこう言います。

でも、たぶん3、4人くらいは喋る人がいるんじゃないかと予想しています。難しいもんね。
つまり、起きそうな問題行動を先生自身が「予言」してしまうのです。
この一手間が、子どもたちの心の中に小さな変化を生み出します。
ステップ1:全体を止めて注目を集める
まず大切なのは、声かけをする前に、クラス全体の注目をしっかり集めることです。
ザワザワしたままの状態で話しかけても、声かけの効果は半分以下になってしまいます。
手を挙げる、静かに待つなど、いつも使っている「注目させる合図」を使い、全員がこちらを見て静かになった状態を作ってから話し始めましょう。
ステップ2:期待を伝え、あえて「予言」を添える
次に、「先生はみんなができると信じている」という期待の言葉を伝えます。
ここだけで終わらせず、続けて
「でも、たぶん数人は難しいかもしれない」
という予言を添えるのが、このテクニックの核心部分です。

動画内では
「あなたですか?それともあなたですか?」
とランダムに聞いていくステップがありましたが、これはやってもやらなくてもどちらでもいいと思います。
学級の実態を見て、僕はしませんでした。
期待だけを伝えると、子どもたちは受け身の姿勢になりがちですが、そこに「予言」を重ねることで、子どもたち自身の内側からの意欲を引き出すことができます。
ステップ3:具体的な人数を示して当事者意識を持たせる
最後のポイントは、「3、4人くらい」というように、あいまいにせず具体的な数字を示すことです。
「誰かが喋るかもしれない」という漠然とした言い方だと、子どもたちは自分のことだと感じにくくなります。
しかし「3、4人」と数を示されると、「その数字に自分が入ってしまうかもしれない」という感覚が芽生え、クラス全員が自分ごととして受け止めやすくなります。
声かけの型はシンプルです。
①期待を伝える → ②具体的な人数で予言する → ③難しさへの共感(「難しいもんね」)を添える
この3つをセットにすることが、効果を引き出すコツです。
科学的に見る「問題行動の予言」が効く理由

このテクニック、実は心理学の研究とも重なる部分が多くあります。
指導力というものを「センス」で終わらせず、根拠のある技術として理解しておくと、自信を持って使えるようになります。
ピグマリオン効果:期待されると、期待通りになろうとする
教育心理学の分野で有名な研究に「ピグマリオン効果」があります。
アメリカの教育心理学者ローゼンタールが行った実験。
小学校の教師にランダムに選んだ児童を「今後成績が伸びる生徒」として伝えたところ、実際にその児童たちの成績が他の児童より伸びるという結果が得られました。
教師が期待を持って接することで、子どもの行動や成果がその期待に近づいていく、という現象です。
「先生はみんなが静かに移動できると信じています」という一言は、まさにこのピグマリオン効果を利用した声かけだと言えます。
目標設定理論:曖昧な指示より「具体的な数字」の方がやる気を引き出す
もう一つの研究の視点が「目標設定理論」です。
心理学者エドウィン・ロックが提唱したこの理論。
曖昧な目標よりも具体的で測定可能な目標のほうが、人のモチベーションを高め、高い成果につながることが分かっています。
「誰か喋るかもね」ではなく「3、4人くらい」と数字を示すのは、この目標設定理論の考え方そのものです。
数字という具体性があることで、子どもたちの意識がぼんやりとしたものから、はっきりとした行動目標に切り替わります。
「その通りになりたくない」という反発心理
そしてもう一つ大切なのが、「予言通りになりたくない」という反発の気持ちです。

僕が実践してみた感じでは、これがかなり効いているのかなと。
反発しやすい高学年等には、より効果があるのかもしれません。
人は、他者から示された予測やレッテルに対して、それを裏切りたいという気持ちを持つことがあります。
「たぶん喋る人がいる」と予言されることで、子どもたちの中に「先生の予想を裏切って、静かに移動してみせよう」という、ちょっとした挑戦心のようなものが生まれるのです。
期待(ピグマリオン効果)と、あえての予言(反発心理)を組み合わせているところが、このテクニックのうまさだと感じています。
実践してみた結果|指導力への自信はどう変わったか
教室移動でのビフォーアフター
普段担任はしていない、自分の受け持つ授業で試してみたら驚きました。
図工の片づけ、作品の移動、タブレットの整理、帰りの会の準備まで、誰もしゃべらずにすんなり終わったのです!

担任の先生も
「こんなに静かにできているところ始めてみました…」
と驚かれていました。

注意する回数が減ると、指導力への自信にもつながりそうですね。

そうなんです。指導力というのは、大きな成功体験だけでなく、こうした小さな成功の積み重ねで育っていくものだと実感しています。
効果が出やすい場面・出にくい場面
すべての場面で同じように効くわけではない、というのが実感です。
効果を感じやすいのは、教室移動や集会前の整列など、「これから静かに行動する」という見通しがはっきりしている場面です。
一方で、授業中の私語のように、複数の要因が絡み合っている場面では、この一言だけで解決するわけではありません。
効果が出やすい場面の例
・教室移動の前
・集会や体育館への移動前
・給食や掃除の時間に切り替わる前
・テストの説明前など、静かに聞いてほしい場面
使うときの注意点とコツ

ネガティブな決めつけにならないようにする
このテクニックを使う際に気をつけたいのが、言い方のトーンです。
「どうせお前らは喋るだろう」というような、決めつけや見下すようなニュアンスにならないよう注意が必要です。
あくまで「難しいもんね」という共感の言葉をセットにし、子どもたちの気持ちに寄り添う姿勢を忘れないことが大切です。
学年・発達段階によって言葉を変える
高学年になると、素直に「予言を裏切ろう」という気持ちになりにくい子も出てきます。学年やクラスの実態に合わせて、言葉のトーンや伝え方を調整してみてください。
低学年であれば、少し茶目っ気を持たせた言い方でも十分に効果を感じやすいです。
高学年であれば、「信頼している」という部分をより強調する伝え方に変えるなど、微調整が必要になる場面もあります。
「予言」が外れたときのフォローも大切
予言どおり、あるいは予言以上に喋ってしまう子が出ることも、当然あります。そのときに「やっぱりね」というような言い方をしてしまうと、子どもたちの気持ちを傷つけてしまいます。
うまくいかなかったときは、「今日は少し難しかったね、また次頑張ろう」というように、次への期待でしめくくることを意識しています。
まとめ:指導力は特別な才能ではなく、積み重ねられるスキル
「指導力不足」という言葉に不安を感じることは、決して恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の指導を見直そうとしている証拠だと思います。
「今から黙って列まで移動します。先生はみんなが静かに移動できると信じています。でも、たぶん3、4人くらいは喋る人がいるんじゃないかと予想しています。」
この一言の中には、ピグマリオン効果による期待の力と、目標設定理論による具体性の力、そして「予言どおりになりたくない」という子どもたちの心の動きが、うまく組み合わされています。
大きな才能や経験がなくても、こうした小さな声かけの工夫を積み重ねていくことで、指導力への自信は少しずつ育っていきます。ぜひ、明日の教室移動から試してみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
▶ 日々の気づきや適応障害のリアルな記録はnoteに書いています。
→ https://note.com/mokubre_mokupapa
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